16号館
おはようございます。住宅事業部の木内です。
東京では桜も満開を迎えましたが
雨続きでなかなかすっきりした天気になりませんね。
少し前の話にはなりますが都内で面白そうな展示会に行ってきたので
その様子を少し紹介させて頂きます。
長坂常氏によるインスタレーション『まかない家具展』
場所は日本橋のT-HOUSE New Balance でした。
会場も長坂氏による設計で築122年の蔵と現代的な建築とを組み合わせた建物で
外観は真っ白な壁に蔵の戸が奇妙についており
内側は伝統的な材と近代的な材が融合した独特な空間を構成しています。
余談ですがこの長坂氏、私の母校である武蔵野美術大学の16号館を設計しているようで
在学中には13号館までしかなかった私にっとっては二重で驚きでした。
他にも清澄白河のBLUE BOTTLE COFFEEや表参道のHAY TOKYOなどを手掛けている方です。
さて、展覧会の内容ですが、まずこの「まかない家具」という聞きなれない単語
それもそのはず、この言葉は長坂氏が使い始めた言葉で
このT-HOUSE New Balanceの工事中に大工が柱の貫を使用し掃除道具置き場を作っていたことに着目し
こうした現場の工事中の大工がありあわせのもので手間をかけずに作ったものを
人に見せることを意識せず、機能を重視したものとして
まかない料理のようなその在り方から「まかない家具」と名付けたようです。
純粋に機能を求めた「まかない家具」はどこの国でも見ることができ
国によって素材やあらわれ方も異なり「手間」のとらえ方も垣間見ることができるといいます。
今回の展示はまず会場を今後の展示の為の什器を製作する現場と
その制作過程で必要な「まかない家具」を作りそれをそのまま展示するといった内容になっています。
最初に見たときはわざわざ作ったのかなと思っていましたが
「まかない家具」はあくまで何かを制作する副産物として生まれるといった
コンセプトを守っているあたりに展示会場に流れる妙なリアリティの正体をみました。
空間全体も青いシートで「養生」されており
その中に「まかない家具」が展示されていて
さらにNewBalanceのストアとしても機能しているので
その「まかない家具」の上に商品が展示しており
ストアとして必要なフィッティングルームも青いシートで作った袋に空気を送り込み制作されています。
展示会に来たつもりで建物に入った私は、いや、NewBalance営業してるんかいと驚きました。
フィッティングルームもなにも商品も持っていないのに入らせて頂きましたが
角材のフレームに青いシートを張っただけの扉を開けるといったん少し空間がしぼみ
しばらくすると十分な大きさに膨らむ初体験の面白味のあるものでした。
我々の現場でも大工が掃除用具置き場や、資材置き場、加工台など
制作して現場をきれいに、作業効率を上げられるように、時には休憩中のベンチなど
様々な目的で「まかない家具」か作られています。
現場にいらした際は大工のこだわりや個性が少し詰まった「まかない家具」も楽しんでみてください。