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賃貸ビル・マンション建築・修繕 小河原建設の非木造事業
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2026.09.11
staff

ふちょう

おはようございます。

住宅事業部で大工をやっている木内です。

 

まだまだ暑い日が続いていますが、朝晩は少しずつ秋らしさを感じるようになってきました。

それだけでもだいぶ現場は楽になってきましたよ。

今回は、そんな現場で耳にする、ちょっと変わった言葉の話です。

 

現場で、

「カネが悪いな」
「カネが悪いと進みが悪いんだよね」
「カネが良ければ、さっといくのにな」

なんていう会話があります。

これを、たまたま近くで聞いていたらどう思うでしょうか。

「え? お金の話?」
「ちゃんと契約して、前金も払っているのにな……」

と、びっくりされたり、不快に思われたりするかもしれません。

 

でも、ここでいう「カネ」はお金ではありません。

建築現場でいう「カネ」は「矩」と書いて、直角のことをいいます。

「ここ、カネ悪いな」といえば直角が出ていない。
「カネ出して」といえば、直角をきちんと出す。

大工同士なら、これで話が通じます。

 

このように、建築の現場には、初めて聞く人には意味が分かりにくい独特の言葉があります。

いわゆる「符牒(ふちょう)」です。

 

例えば、垂直のことを「建ち」、水平のことを「陸(ろく)」といいます。

「建ち見て」
「ここ陸悪いよ」
「カネ出してから止めよう」

こんな会話が現場では普通にされています。

 

「墨を出す」というのもそうです。

墨汁を出すという意味ではなく、墨つぼなどを使って、壁の位置や建具の位置など、施工の基準となる線を現場に出すこと。

「ここ墨出しといて」

これだけで、職人同士なら何をすればいいのか分かります。

 

「逃げを取る」という言葉もあります。

既存の壁が少し曲がっていたり、仕上げを納めるために余裕を見たりするときに、「ここは逃げを取っておこう」などと言います。

 

こういう言葉は、いちいち長く説明しなくても現場の状況を共有できるので、仕事をする上では結構便利なものです。

 

 

そして、こうした符牒は大工だけのものではありません。

実は私の父が塗装屋なので、子どもの頃から塗装屋さんの言葉を聞く機会もありました。

大工には大工の言葉があるように、塗装屋には塗装屋の言葉があります。

職種が変われば使う道具も仕事の内容も変わるので、当然そこで使われる言葉も変わってきます。

 

同じ建築の仕事でも、職種が違えば「それ、どういう意味?」となることもあります。

現場に入ったばかりの頃は、先輩が話していることが分からないこともあります。

「ふかしといて」
「カネ出して」
「ちょっと逃げといて」

初めて聞けば、普通の日本語なのに意味が分からない。

ところが、何度も現場で聞いているうちに自然と意味が分かってきて、いつの間にか自分も使うようになる。

 

こうして考えると、符牒というのは単なる業界用語というより、職人から職人へ受け継がれてきた、仕事の文化のようなものなのかもしれません。

 

もちろん、お客様に説明するときまで「カネが悪い」「陸が悪い」では伝わりません。

現場の中では短く分かりやすく、外では相手に伝わる言葉で。

そんな使い分けも、現場を仕事にする上では大切なことだと思います。

 

建築の現場には、まだまだ「何でそんな言い方をするんだろう」という言葉がたくさんあります。

これからも、普段何気なく使っている現場の言葉を少し掘り下げてみると、意外と面白い発見があるかもしれません。

 

 

もし現場で「カネが悪い」と聞こえてきても、どうか驚かないでください。

お金の話とは限りません。

そのときはたぶん、どこかの職人が「直角が悪い」と言っているだけです。

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