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2013年に六本木・21_21 DESIGN SIGHTで開催されていた「デザインあ展」
身近なものを新しい視点で見せてくれる展示の数々に強い印象を受けました。
何気なく見ていた日常が、工夫や仕組みに支えられていることに気づかされる体験であり気づかせ方も面白かったと記憶しています。
それから10年が経ち、今年、虎ノ門のTOKYO NODEで開催されている「デザインあ展 neo」に足を運びました。
会場の広さや展示のスケールは以前よりもさらに大きく、内容も一層進化していました。
「デザインあ展」は、NHK Eテレの番組『デザインあ』をもとに企画された展覧会です。
日常生活の中にある形や仕組みを改めて捉え直し、“あ!”と気づかせてくれることを目的にしています。
特徴的なのは、説明を読むのではなく、映像や音、体験型の仕掛けを通して直感的に理解できる点です。
大人が考えさせられると同時に、子どもでも自然に楽しめる工夫がされています。
今回の「neo」では、来場者の動きや声が作品に反映される展示が増え、空間全体に没入できるようになっていました。
映像と音がシンクロする仕掛けや、身近なものを分解して再構成する展示は、子どもにとっては遊びの延長のようで、大人にとっては新たな視点を与えてくれるものです。
会場では小さな子が夢中になって走り回ったり、親子で一緒に映像に参加したりする姿が多く見られました。
まさに「大人と子どもが同じ目線で楽しめる展覧会」と言える内容でした。
私自身、大工として住宅づくりに携わっていますが、この展覧会が大切にしている「日常のデザインに気づく」という考え方にはとても共感します。
家づくりでも、柱や壁といった大きな構造だけでなく、細かな寸法や形の違いが暮らしやすさにつながります。
お客様が普段気にされない部分にも、工夫や配慮が隠れている点は、展示で示される「気づき」と重なる部分があります。
デザインというと、どうしても「特別なもの」「難しいもの」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、身の回りの製品や商品、人の動きのようなシステム的なものまで、誰かが意図して作ったものはすべてデザインです。
つまり、視点を少し変えるだけで生活はデザインに囲まれていることに気づきます。
そしてそれに気づくと、作った人の意図や工夫が見えてきて、とても面白い体験になるのです。
ご家族で訪れれば、小さなお子さんは遊び感覚で楽しめますし、大人は「日常の見方」を改めて考えるきっかけを得られるはずです。
会期も延長したようなのでまだ行かれていない方は、ぜひ一度足を運んでみてください。