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2019.05.20
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「majority rule、minority rights」(民主主義は多数決?)

薫風爽やかな季節となっています。

皆様お変わりございませんでしょうか。

さて、今号のスマイルニュースでは札幌にある大きなマンションの管理組合で決められた決議が、たった二人の反対で覆されてしまったという興味深い最高裁の事例について、私とマンション住まいの社員の会話形式でご紹介させて頂きます。

 

  どうした。何を怒ってるの

社員 おかしいですよ。どうしてマンションの住民が総会で決めて、決議要件も整っているのに無効になるのか。

社長 あぁ、札幌のマンションで高圧一括受電方式を採用できなかったことに対して不法行為を認めた1審・2審判決を取り消した件だね。

社員 一体どういうことですかね

社長 簡単に概要を言うと、札幌市内の分譲マンション(5棟、総戸数544戸)が舞台で、各戸の専有部分の電気料金を安くする為、管理組合が電力をまとめ買いして住民に安く供給する高圧一括受電方式を採用することに決めた。

社員 ちゃんとした決議ですよね

社長 4分の3以上の決議、いわゆる特別決議だ。

ただ高圧一括受電方式を採用するには、現在、住民が北海道電力と結んでいる個別電気契約を解約する必要がある。

これは住民全員が解約しなければならない。

そこでこのマンションの管理組合は規約を変更し、電気供給規則を設定する旨の決議をした。

この規則の中に高圧一括受電方式以外の方法で電力を供給してはいけないと定めており、実質的に全住民に個別契約の解約を義務付けるものだった。

社員 ちゃんとやっていますね

社長 ところが住人のうち二人が解約をしなかった。結果、高圧一括受電方式の採用を断念せざるを得ず、特別委員会委員としてこの方式採用を進めてきた住人が「電気代が安く出来ず利益を失った」とその二人を訴えたんだ。

社員 どうしてその二人は反対したのですか。

社長 高圧一括受電方式を採用する際に工事が必要となり停電することがあるなど問題があると考えたようだ。

結果、採用されなかったことで「本来なら削減できた電気料金が削減されなかったという損害を被った」というのが原審原告(被上告人)の主張だった。

札幌地裁、札幌高裁とも、個別契約の解約を義務付けた特別決議は、区分所有法上の決議として効力を持つから、原審被告(上告人)の行為は決議に基づく義務に反し不法行為を構成すると判断していた

社員 そうですよね。みんなで決めたことには従わないと。

社長 しかし最高裁はこの決議に効力がないとし、判断を覆した。

社員 そこですよね。なんで判断が変わったのか。

社長 そもそも、規則の制定や電力供給契約の変更は何の為だった?

社員 高圧一括受電方式を採用して電気料金を安くするためで、安くなるならいいですよね。

社長 その電気料金って何の電気料金だ?

社員 決まってますよ。マンションの住民が住んでる各戸で使っている電気代ですよ。

社長 それって専有部分でしょ。

社員 そうです。

社長 何で専有部分の契約について管理組合が口出しできるんだ?

社員 そ、それは、、、。

社長 そう。最高裁は「本件決議のうち、マンション所有者等に個別契約の解約申し入れを義務付ける部分は、専有部分の使用に関する事項を決するものであって、マンション共用部分の変更またはその管理に関する事項を決するものではない」と。

従ってこの部分は区分所有法上の決議として効力を有するものといえないというんだ。

社員 せっかくみんなで決めたのに。

少数の人の意見が通ったら、これからマンションの自治はどうなるんですか。

社長 内容が問題だということだ。

これが共用部に関することだったら当然決議は有効だ。

管理組合は色々なことを決めていかなければいけないけど、個人のとこ ろまでは踏み込めない。

今後、インターネットやケーブルTV 設備などを導入しようとするマンションが増えていくだけに、合意形成の大事さを認識しなければいけない。

社員 安くなるんだから、みんな賛成するだろうと勝手に思ってはダメなんですね。コミュニケーションの大事さがよく分かりました。

 

日本では「民主主義は多数決」と言いますが、民主主義の先輩である欧米には「majority rule、minority  rights」という言葉があります。

日本の民主主義も欧米並になっているなと感じた次第です。

 


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